ロゴ 学習活用のためのヒント集

数学問題を解く

計算の正確さや速さよりも大事なもの

Wolfram|Alphaというウェブサービスがあります. これは専門家向けの数学ツールMathematicaを提供してきたWolfram Research社が,ウェブ上だけで利用できるツールとして提供しているものです. これを使えば,大学1年程度の計算問題であれば簡単に解いてくれます. スマートフォン向けのアプリとしても(ネット接続なしには使えませんが)提供されているので,ぜひ試して見てください. スマートフォン版は無料サービスのみです.

パソコン利用向けの場合,大規模なデータ処理までしてくれる有料サービスもあります. また有料サービスでは数学演習問題の出題や,計算結果の途中計算の表示もあります. なおスマートフォン版では,数式の計算に関する途中表示が利用できます.

カメラ活用のアプリ

PhotoMathというアプリでは(今のところ二次方程式までですが)スマートフォンで撮影した数式の答えを与えます. その答えまでの途中計算もステップ表示できます.

20年間の進展でも述べましたが,機械学習の進展を考えるとき,みなさんが卒業の頃であれば,おそらく大学1年向け程度までの計算問題であれば,スマートフォンのカメラで撮影した数式を計算してくれるようになっていることでしょう.

数学はかえって重要性を増す

こんな事例を紹介すると,数学を苦手な人だったら「もう数学を勉強しなくてよくなるんだ」と考えたいところですね. おそらく時代は余計に数学を必要とするようになるでしょう.

『機械との競争』や『コンピュータが仕事を奪う』などの本でも注意喚起されていますが,機械学習の手法の進展により開発の進む人工知能技術の社会浸透は,従来,人間の知的仕事と思われてきた仕事を急速にコンピュータ利用へと置き換え可能にしつつあります.

そのため,人工知能の進展で失業しない社会を考える人達は「置き換えられない仕事」とは何かを真剣に検討を始めています. そうした人工知能に置き換えられない仕事であり,また大学教育の目的にも合致することに「問題を考える」仕事があります.

自ら疑問を考える仕事はたいへん難しいことが,人工知能研究からはわかっており,それを数学周辺に当てはめれば,どうすれば(コンピュータが最も得意とする計算能力を活用して)数学を使う問題に現実を置き換えるか,はたいへん重要な分野として社会全般にわたり広がっていくだろうとかんがえられるのです.

みなさんも,これから4年間で身につけていくだろうそれぞれの専門知識を,数学とともに活かすことを考えてみませんか.